1/26発行『ジェイジー』(vol.130)【新宿区若者のつどい2023】レポート村田諒太元プロボクサーと吉住区長によるトークショー!
2023年12月16日、4年ぶりにリアルの会場での開催となった「新宿区若者のつどい2023」。
7年間住んでいたことから「新宿区には様々な思い出がある」と話す村田諒太さんと、新宿出身の吉住健一新宿区⾧が対談を行い、若者にメッセージを送りました。司会は弊社(株式会社H14)の代表取締役・大森徹哉が務めました。
村田諒太
五輪金メダルとプロ世界王者を同時に成し遂げた日本初の元プロボクサー。WBAミドル級スーパー王者。ロンドン五輪ボクシングミドル級金メダリスト。2023年3月に現役を引退。
吉住健一新宿区区長
1972年、東京都新宿区生まれ。2014年11月に新宿区長に就任し、現在3期目となる。
アスリートのセカンドキャリアが課題
大森:オリンピックと世界チャンピオンへの挑戦を振り返って、ご自身の中で、先ほどピンとこない部分があるとおっしゃっていましたが、どうしてでしょうか?
村田:夢を追いかけること自体は素晴らしいことだと思うんですけど……。人間形成とか、そのためのツールとしてスポーツがあって、それを得て出来たことが大事じゃないかなと思うんです。
大森:なるほど。
村田:またスポーツしかしてこなかった社会人経験のない子たちが、スポーツ界を離れた後にどんな人生が待っているのかという、その辺りのメンタルの問題に対するちゃんとした対策とかがあって、初めて夢を追いかけなさいと言えるのかなと思っています。その辺りはスポーツ界に関わる課題ではないかと思っています。
大森:吉住区長はそのあたりどうでしょうか?
吉住:はい、まさにアスリートのセカンドキャリアがすごく心配な課題となっていますが、ちょうど今クリアソン新宿というサッカーチームが、新宿の地元チームとして活躍してくれていて、昼間はクリアソンという会社で人材派遣や様々なマネジメントのお手伝いをしてくれています。選手たちが新宿の高齢者施設に来てくれて、そこで若い選手が来ると高齢者の方も急に元気になったりしています。
こうした取り組みによって、選手たちは一線で試合に出ている段階から次のステップに進んだときに、仕事がちゃんとできるようになっていく。また世代の離れた人と付き合うことによって、コミュニケーション力も上がっていきます。新しいタイプのスポーツチームになることを目指して、いまチャレンジをしているところです。
タイのゾウからの教訓
村田:タイでは小さい頃に超えられない柵を刷り込まれ、大人になっても逃げださない象がいるそうですが、そのゾウは大人になって絶対超えられるのに、その柵を超えようとしないんです。教育上でも、日本人はもう海外とかでも通用しないんだとか教え込まれることで、そう思い込んでしまって、まさにタイで飼われているゾウみたいな状況じゃないかと思う時があるんですね。
でも今、それこそ大谷翔平君がとんでもないこと成し遂げて、日本人の能力ってこんなに可能性があるんだ、こんなにすごいんだってことを見せてくれてますよね。若い子たちも、その見えない柵の中に縛られることなく、実は日本人ってすごい能力があるので、本当に自分たちの可能性を信じてほしいですね。
大森:村田さんこそ今のゾウの話でいうと、日本人でなかなか難しいっていうミドル級で世界チャンピオンになられましたが、その辺はどうやってゾウじゃない感覚になられたんですか?
村田:対ゲンナジー・ゴロフキン(WBA&IBF世界ミドル級王者)戦の大きな大会であろうが、小さい大会であろうが、一緒なんですよね。小さな大会でもただただ一生懸命になるだけなんです。それをクリアしたり、クリアできなかったりを積み重ねていって。夢がまっすぐにピンって立っているわけじゃないけれど、ものすごくいびつな形でたまたま叶ったというだけの話であって、ただ目の前で一生懸命になってただけなんですよ。
大森:すごいですね。
吉住:本当すごいです。やっぱり最初からこういうことやっちゃいけないんだよっていうのを教え込まれちゃうと、そこから打ち破ることって、なかなかできなくなっていくんですよね。若い人たちにはいろんな経験やチャレンジをしてもらいたいと思うんですけど、周りの人たちが、「この殻は打ち破っていい殻なんだ」とわかって、それをアシストしてあげるかどうかが大事なんだと思います。今後の少子化などに向けてどうやったら殻を打ち破れる子どもを育てられるか、周りのサポートをどうしていくかを考えないといけないと思います。
最後に二人から一言
大森:最後に今日のイベントに参加してくださった方や、新宿の若者に向けてメッセージをお願いいたします!
村田:先ほどタイで大人になっても逃げださないゾウのお話をしたかと思いますが、限界とか、勝てるとか負けるとかを自分で決めずに頑張ってほしい。新宿は魅力的な街で、ここには働き盛りの方がたくさんいらっしゃると思うので、この街をしっかり盛り上げていただければと思います。
吉住:区役所からも、例えばLINEで新宿区役所を登録しておいてもらうと、選んでいるジャンルのニュースが自動的に届くような仕組みも今作っていて、様々な情報発信しています。皆さんの生活に一瞬でも潤いを作ることができたらと思いますので、ぜひご活用ください。
お二人とも座談会お疲れ様でした。
「若者のつどい」とは?
若者に新宿の魅力を知ってもらい、地域・行政・団体とのつながりを生むことや、地域参画への意識を高めることを目的としたイベント。12回目の開催となる今年は、4年ぶりにオンラインではなくリアルの会場で開催。若者向けの催しが行われた。