“くさい”は“うまい”!? 新宿ロフトプラスワン『世界のくさウマ実食会』に行ってきた

“このイベントに関しての一切の苦情を受け付けません”
 参加者は全員、この念書にサインをしなければ入場できません。
「バンジージャンプする前の同意書と同じなんで」
「苦情は受け付けませんが、気分が悪くなったりしたらすぐ言って下さいね」
 壇上からも、出演者の方々が改めて注意を促します。こんな物々しい始まりだなんて、一体なんの集まりなのでしょう? こちらは1月29日に新宿ロフトプラスワンで行われた『世界のくさウマ実食会』。強烈な匂いで有名な世界中の食品を皆で食べようという催しです。口に入れて食べるものなんだから臭いなんてたかがしれているだろうなんてぼんやり思っていましたが、いや、食への価値観変わりました……本当に……。

 

 会場は人でいっぱい。これだけ多くの人々が臭い食べ物を求めてやってきたんですね。30代以上の男性が多めですが、5人に1人程度は女性です。ある若い女性グループは臭い防止に皆でお揃いの合羽を着ていました。
 メニューはこちらです。
①モンドールチーズ(スイス、フランスで食べられているチーズ)
②臭豆腐(発酵させた漬け汁に豆腐を漬け込んだ、台湾、中国の食べ物)
③くさや(発酵させた漬け汁に浸して作った魚の干物。伊豆諸島の食べ物)
④ホン・オフェ(エイの刺身を漬けた韓国の食べ物。世界で2番目に臭い食べ物と言われている)
⑤シュールストレミング(ニシンの塩漬けを発酵させて作るスウェーデンの缶詰。世界で一番臭い食べ物と言われている)

 

 これらの食品を、シュールストレミングの正規輸入を行う川口貿易の伊藤さん、「流しのチーズ屋」チーズ魂さん、水産加工の組合長である藤井さんといった専門の方々が順々に紹介していきます。
 取材のために、全部食べましたよ! チーズは濃厚で少し獣っぽい臭いと味。クリーミーな舌触りで、これは“くさウマ”ですね~。これは、余裕で食べられましたが、次からが本番でした。くさやは、一口噛めば、口いっぱいに動物園の臭さを凝縮させたような香りが広がります。野良犬の毛をしゃぶっているような気持ちです。ホン・オフェは、食べるまでの臭いはそこまで気になりませんが、口に入れたときのつらさはかなり上位。昔、理科で使ったアンモニアそのままの臭いです。アンモニアの臭いは手があおいで嗅ぎなさいって習ったのに。ナンコツのようにコリコリした歯ごたえなので、すぐに飲み込むことができず、噛めば噛むほど鼻にぬけていくので、逃げ場がありません。
 かなりきつかったのは臭豆腐です……。普通は揚げて食べるものですが、今回は生のままでの実食。ヘドロっぽい見た目に、臭いは、山道なんかにある、あまり洗っていない公衆トイレの……。伝わりますか! 感じてください! 口の中に汚いトイレが広がっている! えづく! つらい! しかし、ビールに合いそうなしょっぱさで意外と美味しいという人もちらほら。一方、臭いだけでギブアップという人もかなり多そうでした。隣のテーブルの方は、食べ残しにずっと紙コップをかぶせて蓋をしていました。臭いもんね。
 いよいよ悪名高いシュールストレミングが、その凶悪さを隠すかのごとく上品な盛り付けでやってきました。でも臭いは臭豆腐系の……山の公衆トイレのあれですね。なんと胃の中でも発酵してガスを放ち続けるらしく、爪の半分くらいの量を食べただけでも胸焼け必至。おそるおそる口にします。臭いと同じく味も公衆トイレ系ですが、どこか洗練されているような? “くさい”と“うまい”でせめぎ合う味と言いましょうか。パンと併せて食べると、味と臭いが少し中和されて、オシャレな珍味ディップのようにも。いや、臭いはかなりきついんですけど。でもなんだか食べ続けたらハマりそうな……? ちなみに元々は壇上で缶詰を開ける予定でしたが、安全性の面からロフト上層部でかなり問題になって中止になったそうです。「こぼれた汁が会場に染み付いてしまったら、今後の他のイベントに差し障るという判断がされた」と、ロフト企画部所属でもある司会の奥野さんは語りました。今回の『世界のくさウマ実食会』、換気扇の位置までかなり計算して運営しているそうですよ。休憩中、スタッフさんがせっせと場内に消臭スプレーをかけてまわっていました。

 

 大盛況のこのイベントは、第2弾もさっそく予定しているそうです。「次は何を食べましょうか?」という出演者の方々のトークに、お客さんも希望を伝えていきます。もうステージも客席も分け隔てなく普通に会話しあっているのでした。辛い体験を共有することで、全員に一体感が芽生えたんだなぁ……。和気あいあいとした雰囲気のなか、詳しくは秘密ですが第2弾のメニューも決まりました! 怖いもの食べたさに一度はおいで~。

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