※本記事は『JG』vol.80（2015年7月26日発行号）に、一部加筆・修正し転載しています。
新宿在住のアーティスト・ヴィヴィアン佐藤さんが、過去の新宿～四谷の街へタイムスリップ!? 今昔写真でたどる街の変遷。
――――――――――――――
【第1回】旧新宿コマ劇場（歌舞伎町）
歌舞伎町に劇場はないけれど、
“かぶき者”が集まる街
映画館やホテルが入っている“ゴジラビル”こと「新宿東宝ビル」。ここはかつての歌舞伎町の顔ともいえる「新宿コマ劇場」があった場所。戦後間もなく歌舞伎劇場「菊座」をこの地に造ろうとしたけれど、歌舞伎劇場は幻と消えて、歌舞伎町という名前だけ残ったわ。
その後、噴水広場を中心にそれを囲むように劇場や映画館など文化芸能施設が造られることに。劇場の完成は1956（昭和31）年。回転する舞台が独楽に似ていたから“コマ”劇場と名付けられたそうよ。’58（昭和33）年に売春防止法が施行され、新宿二丁目の赤線やゴールデン街の青線が消え、代わりに歌舞伎町に大量のラブホテルが建てられたわ。
50–60年代の新宿コマ劇場は、大衆演劇、演歌のメッカに。“戦後の日本”を歌い続けた美空ひばりは自身のメイン会場とし、山口百恵やYMOがライブをし、’58年には第9回NHK紅白歌合戦も開催。
戦後の合言葉は「光は新宿より」。次々と主役が変わるこの街こそ、“コマ”のように回転し続けるバイタリティーそのものなのよね。
2015年時の歌舞伎町。
歌舞伎町一番街。
■ヴィヴィアン佐藤
非建築家、アーティスト、イラストレーター、パーティイスト、ドラァグ・クイーン、文筆家、映画評論家など、さまざまな顔をもつ、JGエリアの“動くオブジェ”。 ジャンルを横断し、独自の美意識と哲学で“トーキョー”と“現代”を乗りこなす。
Twitter
Facebook
【関連記事】
ヴィヴィアン佐藤の迷所巡礼一覧
