サラリーマンってかっこいい! 新宿眼科画廊で青山裕企さん個展『ソラリーマン・ジャパン・ツアー 2013 東京』
1月16日まで、「新宿眼科画廊」にて写真家・青山裕企さんの個展『ソラリーマン・ジャパン・ツアー 2013 東京』が行われています。女子高生写真集『スクールガール・コンプレックス』の著者と言えば、アートに特別興味はなくともおわかりになる方は多いのではないでしょうか。実は青山さんは、『JG』の表紙を約2年間(Vol.23からvol.44まで)撮影していただいたカメラマンでもあります! さっそく行ってまいりました。
“ソラリーマン”とは、“空飛ぶサラリーマン”のことだそうです。“サラリーマン”と言っても、“働くオトコたち”という広い意味で、会社員に限らず幅広く色々な職業がモデルになっています。なんだか“サラリーマン”と聞くと、背中を丸めてとぼとぼ歩く疲れた中年男性というイメージを思い浮かべてしまいますが、写真に映った男性たちはまったくの正反対。髪が薄くなっていたり太り気味だったりと見た目はごくごく普通の中年男性なのに、背景の空もあいまって、とても爽やかな印象を受けます。
フェチ的な『スクールガール・コンプレックス』と『ソラリーマン』シリーズは真逆のようですが、実は日本社会における記号的な存在という同じテーマを扱っているそうです。女子高生やサラリーマンといった制服やスーツによって記号的=没個性的に見えてしまう存在を、『スクールガール・コンプテックス』では顔を写さないことで記号性を引き出し、『ソラリーマン』ではジャンプによって個性を引き出すようにしています。
個性を大事にする『ソラリーマン』シリーズなので、ポーズも被写体に基本お任せ。今回は『ジャパン・ツアー』ではありますが、ご当地らしさの出ている場所よりも、あくまで人が主役に見える場所を優先させています。
震災後、『ソラリーマン』がネット上で「なぜか元気の出る画像」として扱われていたことで自身も励まされたと青山さんは語ります。「ソラリーマンを撮ることで日本を少しでも元気にすることができる」そんな信念のもと、全国をまわり始めたそうです。
サラリーマンってなんだろう、サラリーマンのかっこよさってなんだろう。青山さんは『ソラリーマン』を撮ることでそう問いかけます。写真集『ソラリーマン 働くってなんなんだ!?』のサブタイトルは、決してジレンマに満ちた苦しい呟きではなく、明日を見据えた前向きなクエスチョンなのでしょう。すれ違ったスーツ姿のおじさんが、なんだか眩しく見えました。