新宿四丁目に現れた異世界! 都築響一PRESENTS『新宿秘宝館』 

 新宿の南口を出て、タカシマヤやサザンテラスを横目に華やかな通りを離れて、細く暗い道へ入っていく。本当にこんな裏通りにギャラリーがあるのかしらと不安な気持ちを抱えながら辿りついたのは、奇妙な“秘宝館”でした――。

 新宿四丁目の「ギャラリー新宿座」では、2013年1月27日(日)まで『新宿秘宝館』を開催中です。この展示では、今年11月に『第11回 JGフォーラムin水たき玄海』にも出演してくださった、カメラマンでもあり編集者でもある都築響一さんのコレクションの一部が披露目されています。
 
 秘宝館というとなんだかありがたげな響きですが、その実は、主に性風俗や性にまつわるものを展示している施設のこと。まあはっきり言うと、エロい場所ですね。ハレンチな絵や人形や標本を並べた桃色な場所を秘宝館と呼ぶのです。不埒! ちなみに、廃館続きで今はすっかり残り僅かになってしまった秘宝館ですが、「熱海秘宝館」は現在もかなり大規模に経営中です。

 今回の『新宿秘宝館』に並ぶ蝋人形の数々は、かつて三重県に存在していた「元祖国際秘宝館 鳥羽SF未来館」(2000年に閉館)で実際に公開されていたものたちです(それを、都築さんが買い取ってコレクションにしているというのがスゴイです)。
 その人形たちが繰り広げるのは、宇宙人に支配された世界の話。連行された人間たちは、装置で強制的に生殖させられ、宿った子どもは短期間で成人するよう投薬される……。精巧に作られた人形たちは、どれもが一糸纏わぬ露わな姿。苦しげな表情を浮かべているものも少なくありません。なかには、宇宙人によって処分されてしまう人間たちというおどろおどろしい場面も。入場が18禁なのも納得です。

 このように、一般的な“エロ”からは完全にズレています。むしろ、性に飢えた男子中学生でさえ引いてしまう世界観なのでは……。しかし、そんな世界を“エロい”と感じ、なおかつ蝋人形によって現実に再現までしてしまった人がいるということがとても不思議。誰かの秘密の妄想に迷い込んでしまったような、そんな気持ちが味わえる空間なのです。

 
 また、新宿武蔵野館のイベント記事でも紹介したゾンビーナさんも、期間中の土曜限定で、会場に出張ゾンビバーをオープン中です。

 入場料は1000円の18歳以下入場禁止! 年末年始の旧廊日や、ゾンビバーの営業日など詳細は、「ギャラリー新宿座」のサイトで確認してみて下さい。

 人間が家畜として扱われる未来世界の片隅では、ゾンビたちが酒宴を開いていた……。あの場所は夢だったのかもしれないと思ったけれど、私の鞄の中にはフライヤーがしっかりと残っていたのでした。

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