みんなで学ぼう はじめての“ゴシック”、“ロリータ”、“ゴスロリ”
町でときどきすれ違う、“変”な格好の少女たち。頭には大きなレースの髪飾り、真っ白なブラウスにエナメルの靴を履いて、パニエで丸く膨らませたスカートには過剰なくらいフリルが付いている……。映画『下妻物語』のあの格好だよと言えば分かりやすいでしょうか?
先日の、映画 『愛を歌うより俺に溺れろ!』 舞台挨拶イベントのニュースに、ファンの方から「ゴスロリとロリータ、コスプレは違う」という意見が寄せられました。細かい部分は人それぞれかと思いますが、これを機会に“ゴスロリ”について考えてみましょう。何を隠そう私、“ロリータ”を始めとするストリートファッション誌『Gothic&Lolota Bible』、長年の愛読者。オーケンに憧れてブースカを抱きしめる。そんな夜もありました……。
そもそも、“ゴシック”、“ロリータ”、“ゴスロリ”の3つは別物。一般の人にわかりやすいよう、“コスプレ”としてくくられることもありますが、実は“コスプレ”ではありません。彼女らは、日常生活でも同じ格好ですからね。あ、便宜上「彼女」という言葉を使っていますが、愛好家には男性もたくさんいます。
では、まず“ゴシック”とはなんでしょう? これは元々、建築様式の一種を指す言葉でした。そして、その“ゴシック”の建物を舞台とした幻想小説が流行したことから、小説のジャンル名にも使われるようになります。“ゴシック”建築や小説が持つ、なんとなく暗い感じを服装で表現したのが、“ゴシック”ファッションなのです。
一方、“ロリータ”になると、その起こりは曖昧です。“少女っぽい格好”が時代によって変化していって、今と大体同じファッションが90年代に現れたという感じでしょうか。
“ゴスロリ”は簡単ですね。“ゴシック&ロリータ”、つまり、“ゴシック”と“ロリータ”のテイストが合わさったファッションということ。だから、“ゴシック”の要素がない“ロリータ”は、“ゴスロリ”ではなく、逆もまたしかり。ただ区別が難しいのは、“黒ロリ”。これは“黒”い“ロリータ”であって、“ゴスロリ”ではありません! 大雑把ですが、コウモリとか十字架とか蜘蛛とかそんな雰囲気がするかしないかで、二つの区別は大体つきます。もし分からなかったときは変に口に出さず、「素敵な格好だね」程度のコメントにしておきましょう。
部外者から見てみればアシカとオットセイとアザラシの違いみたいな話ですが、間違うと大変叱られます。なぜ彼女たちは、そんなに真剣なのでしょう? それは、“ゴシック”や“ロリータ”の愛好家にとって、ファッションは単なる服以上の意味を持っているからです。服装は、ある思想を生きているという表明でもあるのです。
こう聞くと難しそうですが、可愛いと思ったならそれで充分。新宿マルイワンには、“ゴシック” “ロリータ”のブランドがたくさん。お財布や靴下から初めてみるのも素敵ですよ。